ガルバリウム鋼板屋根材とは?その材質、組成、性質、ガルバリウム鋼板の使用法

ガルバリウム鋼板の組成、性質:

ガルバリウム鋼板を屋根材として使うようになって、かれこれ20年程度である、ガルバリウム鋼板
屋根材は、近年トタン材料、溶融亜鉛メッキ鋼板にとって代わりつつある、ほとんどとって代わっ
たものもある。溶融亜鉛メッキ鋼板や溶融亜鉛鋼板の屋根材、トタンはその溶融亜鉛メッキ鋼板の
一部であるが、鉄に少量のクロムなどを混合させた鋼を薄く圧延し、その上に亜鉛のメッキを施し
た鋼板である。このメッキのシステムが、亜鉛だけではなく、アルミ、シリコンなどを混合させ、
より強固で錆びにくい鋼板にしたものが、ガルバリウム鋼板であり、この薄板を屋根材に応用した
ものが、ガルバリウム鋼板屋根材である。またガルバリウム鋼板はいろいろな建設資材として使わ
れていて、外壁、工事現場の仕切り板、簡易な建物の屋根、外壁に使われている、ほとんど溶融亜
鉛メッキの代替としてその地位を確立したと言ってよいだろう。その製造工程は、溶融亜鉛メッキ
鋼板とそんなに変化はなく、製造ラインもそのまま使用に耐えうるようである。アルミ、シリコン
の混合比がどれほどの割合で混ぜるのかが、肝でこの混合比は、亜鉛55%、アルミニウム46%
、シリコン2%程度の混合比、そのメッキ処理の方法でトタンの倍もの耐用年数を得ている。これ
は、鋼板が腐食する前に、つまり塗装が剥げ、メッキが劣化して、地肌である鋼板が見えてきたと
き、ガルバリウム鋼板屋根の材料自体が、イオン化傾向の違いによって、鉄より早く酸化し、酸化
亜鉛になって鋼板を保護する機能がガルバリウム鋼板には備わっているためである。またアルミニ
ウムはやはり酸化して不動態皮膜になり、鋼板の酸化をかなり遅らせることができるシステムにな
っている。このガルバリウム鋼板を屋根材にした場合がもっとも雨に晒される材料であり、ガルバ
リウム鋼板屋根での耐用年数は、開発者のベツレヘムスチール社の実験によると、ガルバリウム鋼
板を屋根材にして全米33箇所での実験で25年以上という報告がある、これは唯一のいろいろな
地域での広範囲な防爆実験であり、かなりの信頼性を持っている。ガルバリウム鋼板特にガルバリ
ウム鋼板屋根の耐用年数は25年以上であると言えそうである。



ガルバリウム鋼板屋根の歴史:

ガルバリウム鋼板自体は、1970年、米国はベツレヘムスチール社という、米国最大手の鉄鋼会社
が開発したメッキ鋼板であり、日本では、日新製鋼がライセンスを購入して製造を始めている。

その他メキシコ、ドイツ、他の米国鉄鋼会社もライセンスを得ている、ガルバリウムは、英語で
Galvalume®であり、Galvanized Steel;溶融亜鉛メッキの造語であり、現在この登録商標、米国
ではトレードマークと言うが、BIEC International Inc.が持っている。元々はベツレヘムスチ
ール社の商品であるが、ベツレヘムスチール社は、倒産し、ガルバリウム鋼板などの特許、ライセ
ンス、製造権などの資産はこの会社が受け継いでいる。そしてガルバリウム鋼板;galvalumeの製
造権、ライセンスは世界各国に供与されていて、例えば、日本では、JFEスチール、日新製鋼、
新日鉄住金、淀川製鋼所などが持っている。その他中国3社、アルゼンチン1社、オーストラリア
1社、ブラジル2社、米国5社がライセンスをもらっている。

しかし、ガルバリウム鋼板の名前は、各国で少し違っていて、特に皆ガルバリウム鋼板に近い名前
であるが、Steelscope社は、このガルバリウム鋼板をジンカリウム鋼板という名前で商品化して
いて、少し日本では混乱を招いている、それは、このガルバリウム鋼板を使った屋根材でジンカリ
ウム鋼板というガルバリウム鋼板とは違ったものを製造している会社が現れたのである。その屋根
材の製造会社は、ニュージーランドの製造会社であり、ガルバリウム鋼板の上に石粒をコーティン
グしたガルバリウム鋼板より耐用年数の長い製品;日本では、自然石粒付鋼板、石粒付鋼板、
またはジンカリウム鋼板という一般名の製品が輸入されている、

元々は多分Steelscope社のガルバリウム鋼板(この製品名ジンカリウム鋼板)を使って自然石粒
付鋼板を製造していたのであるが、日本での製品名がジンカリウム鋼板の名前も同時に使われてい
たことにより、ガルバリウム鋼板とジンカリウム鋼板は別物になってしまっている。ガルバリウム
鋼板屋根とジンカリウム鋼板屋根は、製品的には別ものであるが、元のメーカーからたどると、
ガルバリウム鋼板とジンカリウム鋼板は、登録商標が違うだけで、BIEC Internatonal Inc.の全
く同じ製品である。

また日本では、2016年に亜鉛、アルミニウムにマグネシウムを加えた新しいメッキシステムが開発
された、これは、ガルバリウム鋼板より耐用年数においてかなりの長寿命の製品であり、価格もガ
ルバリウム鋼板とほとんど変わらない画期的なもので、ガルバリウム鋼板を40年ぶりに超えた材料
であり屋根材として盛んに使われるようになると思われる。

もはやガルバリウム鋼板ではないので、ガルバリウム鋼板とう名前は使えないのであるが、ガルバ
リウム鋼板との比較で、スーパーガルバリウム鋼板、スーパー鋼板という前置きが使われる。これ
は長年、屋根材にガルバリウム鋼板という巨人があったので、これを超える製品という意味で、や
はりガルバリウム鋼板が持ち出されるのは致し方ないと思います。

日本で始めてガルバリウム鋼板屋根として使われたのは、1980年代です。ベツレヘムスチール社か
らライセンスを受けてガルバリウム鋼板を製造したのは、大同製鋼株式会社が1982年に日本で初め
てガルバリウム鋼板屋根材というのを製造してはや20年の月日が経ちました。その後日本の大手鉄
鋼会社は、こぞってガルバリウム鋼板を製造するようになり、新日鉄住金、JFEスチール、日新
製鋼、淀川製鋼所(2015年電炉での製鋼は停止)がガルバリウム鋼板やガルバリウム鋼板屋根材を
製造し続けて今日まで続いています。ガルバリウム鋼板の性能では、この3社の違いは遜色なく、
製造工程も安定していますので、ガルバリウム鋼板の屋根材メーカーは、これら3社からガルバリ
ウム鋼板の圧延コイルを購入し、独自の表面処理、表面塗装を施してガルバリウム鋼板屋根の製品
の違いを追求しています。特に2016年は、ガルバリウム鋼板屋根で新しい材料が開発されました。

亜鉛、アルミニウムに加えてマグネシウムを加えた鋼板でガルバリウム鋼板より優れた特性を示し
ています。

ガルバリウム鋼板製造会社、ガルバリウム鋼板屋根材製造メーカー:

上にも書きましたが、ガルバリウム鋼板そのものを製造しているのは、現在大手3社、子会社が製
造している場合がありますが、親会社を言うと、新日鉄住金株式会社、JFEスチール、日新製鋼
の各社で、高炉から一貫生産をしています。鋼板にメッキを施しているのは、各関連会社がやって
いるのですが、このメッキ処理でガルバリウム鋼板が出来上がります。これをコイル状でガルバリ
ウム鋼板屋根材メーカーに出荷して、そこで屋根材として主に屋根用として、切断、折り曲げ、加
工をしてガルバリウム鋼板屋根材になっていきます。この屋根材メーカーは、日本に多数あり、木
造家屋用の屋根材を製造していて、良く耳にする主な専業メーカーは、ニチハ株式会社、アイジー
工業、稲垣商事、セキノ興産、福泉工業、日本ルーフ建材、中山化成、ビルドマテリアル、勿論ガ
ルバリウム鋼板の製造メーカーの新日鐵住金の関連会社の日鉄住友鋼板、JFEスチールの関連会
社、JFE鋼板株式会社、日新製鋼もガルバリウム鋼板屋根材を製造していて、ガルバリウム鋼板
の屋根材市場は活気ついています。

実はガルバリウム鋼板屋根材は、新築よりリフォームで多く使われていて、コロニアルやカラーベ
スト、スレート屋根の葺き替えで主に出荷されています。ガルバリウム鋼板の認知度はかなり広が
っていて、新築でもガルバリウム鋼板屋根の注文が増加することが予想されています。軽くて、耐
用年数の長い製品も出てきて施主にとって都合の良い屋根材市場になりつつあることは確かです。

ガルバリウム鋼板屋根の酸化の仕組みと耐用年数:

屋根材や、鋼板、鉄の材料が錆びる、腐食するとはどういうことか?と言うと、金属は、自然界に
存在しりものは全て何かしらの、酸化物・硫化物等の化合物で存在します。その化合物から還元操
作により、自然界には存在しない酸化、硫化されていない金属が人為的につくられます。腐食とは
その逆で、金属が大気中の酸素や硫化物に戻る現象に他なりません。

鉄、屋根材に使われる塗装、表面処理をしていない鋼板は空気や水に触れるとイオン化し、鉄イオ
ンが大気または水溶液に溶け出します。一方残された電子が酸素や硫化物と結合して酸化や硫化と
して顕われサビや腐食が進行するのです。腐食現象は、8つあり、全面腐食、粒界腐食、孔食、隙間
腐食、応力腐食割れ、電位差腐食、エロージョン・コロージョン、酸化があります。

腐食現象、酸化、硫化現象は、独立して発生する場合や複数の現象が混合して発生する場合もあり
そのメカニズムは複雑です。良く目につく錆び;サビは、鉄が全面腐食した結果生じた腐食生成物
です。代表的な鉄のサビ色は、黄色、茶色、茶褐色、黒色などがあり、酸化や硫化の形態、電子が
いくつ結合するかでその生成物が異なります。一般的にステンレス鋼やアルミニウムなどにはサビ
の斑点が生じます。これは、使用される環境に塩化物が含まれ、金属の不動態皮膜が破壊されて生
じる腐食生成物です。これは全面腐食ではなく、孔食や応力腐食割れの結果と言えます。

この酸化や、硫化を防ぐ為に、屋根材としてガルバリウム鋼板、亜鉛鋼板を使う際に鋼板をいろい
ろメッキや表面塗装で酸化、劣化から鋼板を守ることをするのです。メッキや表面処理、塗装は、
亜鉛鋼板やガルバリウム鋼板を屋根材として使用する際の耐用年数を成るべく伸ばすように処理す
るのです。亜鉛メッキ鋼板は、亜鉛が鉄よりもイオン化傾向が大きいため、塗装が禿げた後、鉄よ
り早く亜鉛を酸化させ酸化亜鉛で鉄を守ります。メッキの役割として鋼板を酸化させない為システ
ムです。これを専門用語で犠牲防食作用と言います。亜鉛鋼板;トタンはこのように鋼板の酸化、
劣化を防いでいます。

ガルバリウム鋼板は、メッキ層としてアルミニウム;55%+亜鉛;43.4%+珪素;1.6%の合金を用
いています。アルミニウムは、比較的酸素やその他の元素と結びつき難い性質があるので、表面の
アルミニウムでメッキ層を保護しています。これを不動態皮膜と言います。ガルバリウム鋼板は、
亜鉛の犠牲防食作用とアルミニウムの不動態皮膜によってトタンの3倍という長期耐用年数を実現
しました。

ガルバリウム鋼板は、メッキ層に含まれる亜鉛、アルミニウム、シリコンの混合比は開発メーカー
であるベツレヘムスチール社が最良の混合割合を導きだしました。またガルバリウム鋼板の開発会
社であるベツレヘムスチールは、25年の長期に渡って防爆実験を実施し、表面はめっき合金の結晶
粒による模様(スパングル)が視認できる大きさに発達しており、ガルバリウム鋼板は熱反射性能
が70 – 75%と、通常の亜鉛めっき鋼板の30 – 40%程度に比べて高くなっていること、アルミニウ
ム主体の合金なので、合金の融点が約570℃と、亜鉛の融点が約420℃の亜鉛めっき鋼板よりも高い
などいろりおなメリットもあり、ガルバリウムの優位性を強調しています。

ガルバリウム鋼板屋根のメリット:

ガルバリウム鋼板を屋根材として使うことのメリットは;

1:瓦の1/10の重量で屋根を軽量化でき、地震対策として有効なリフォームができる
2:スレート屋根の1/3の重量で、スレート屋根に被せて工事が可能で工期の短縮、
  コスト・費用の低減になる。
3:ガルバリウム鋼板は塗装層が禿げたら何回でも再塗装ができるので、原理的には
  塗装層のやり替えで何年でも長持ちする、鋼板の穴が空くまで雨を防ぐことができる
4:ガルバリウム鋼板屋根自体の価格が、大量生産、量産効果によって下がっている
5:施工が簡便で職人さんの負担も少ない
6:軽量なので運送が楽にできる;瓦、スレート材よりかなり軽い

等々、ガルバリウム鋼板屋根はいろいろなメリットがあります。元々トタンの代替として開発され
た鋼板ですが、トタンは屋根材としてあまりデザインを考慮した製品が出てこなかった、ガルバリ
ウム鋼板もトタンも0.35mmという薄い鋼板ですが、屋根材メーカーが商業的にトタンでは意匠の凝
った製品を開発しませんでした、お客様の意識もトタンで意匠の優れた製品などは見向きもされな
かった時代でした。しかし耐用年数が延び、鋼板の価値が認識されると、次々に新しいデザインの
ガルバリウム鋼板屋根材が開発され、屋根の軽量化、それまで大量に施工されたスレート屋根のリ
フォーム用として脚光を浴びた商品までになりました。それは世の中の省エネ、軽量化の潮流に乗
って発達したマーケットであり、ガルバリウム鋼板は屋根の材料として、確固たる地位を作った製
品でこれからもいろいろな新商品が出て来る期待があります。

ガルバリウム鋼板屋根の中身:

屋根はガルバリウム鋼板等の仕上材だけで出来ている訳ではありません。ガルバリウム鋼板屋根の
下には、ルーフィングという下葺き材、下地材というコンパネがあります。屋根の機能としては家
を雨風から守ることと、家の意匠を形つくるという2つの大きな機能、役割が屋根材にはあります
雨漏りから家を守るのが第一の役割なら、第2の役割は家をかっこよく見せる為の屋根でもある訳
です。どちらも重要な役割ですが、屋根の寿命、耐用年数から言うと、耐用年数と美観です。屋根
の耐用年数とはガルバリウム鋼板だけの耐用年数ではなく、ルーフィングの耐用年数です。それは
雨漏りを実質に防いでいるものは、実はガルバリウム鋼板ではなく、そのルーフィングなのです。

このルーフィングがガルバリウム鋼板の耐用年数を下回ると屋根の耐用年数はガルバリウム鋼板の
耐用年数をしたまわり、高いガルバリウム鋼板を施工してももったいないことになるのです。ガル
バリウム鋼板屋根は、メンテなどをしないと、塗装が剥げ、メッキが剥げ、中の鋼板に穴が空くま
でに25年以上かかると言われています。また一般のルーフィングの耐用年数は20年です。計算上5
年ルーフィングの耐用年数が足らないのです。

そして、ルーフィングの工業会でも、更なる長期寿命の為に、新しい規格のルーフィングも出来て
います。ARK04規格のルーフィングや改質ゴムアスファルトルーフィングなどは、保証年数こそあ
りあませんが、30年以上の耐用年数が期待されています。一部の新ルーフィングでは、30年とカタ
ログに記載されています。ガルバリウム鋼板屋根での耐用年数は、ルーフィングに支えられた耐用
年数であることを忘れてはいけないのです。